プロセス用高耐薬品性ガスケットNo.UF300

プロセス用高耐薬品性ガスケットNo.UF300
シール開発本部 開発グループ
黒河 真也

1. はじめに

 各種プラントにおけるガスケット材質の選定において、流体への適合性の点からPTFE系製品は幅広い用途に適用されている。使用環境には区分があり、①水や蒸気、空気などのユーティリティ用途、②油系流体や溶剤、有機酸、有機アルカリなどのマイルドプロセス用途、③腐食性の高い酸性流体やアルカリ性流体などのシビアプロセス用途、と分けて考えた場合、2004年に上市したNo.GF300は優れた高温特性をもとにユーティリティ用途を中心に①、②の領域で多く採用されており好評をいただいているが1)、③のシビアプロセス用途では流体の腐食性の高さから、複数のPTFE系ガスケットが使い分けられているのが現状である。
 近年、プロセス運転コストの低減や、選定・装着間違いによる事故リスク低減を図るため、1つのプラント・設備に使用するガスケットを統合化したいとの要望が顕在化しており、酸からアルカリまで包含した幅広い耐薬性を有する製品が必要とされる。
 こうした顧客ニーズを受けて、幅広い流体に適用可能であり、高温特性も併せ持つプロセス用高耐薬品性ガスケットNo.UF300を開発したので、紹介する。
2-1)極めて優れた耐薬品性
 高温の水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液といった無機系アルカリ、硫酸や塩酸、硝酸といった無機酸あるいは酢酸などの有機酸に代表される腐食性の高い流体に適用可能なガスケットである。これにより、流体ごとにガスケットを使いわける煩雑さが解消される。

2-2)良好な高温長期特性
 優れた応力緩和特性を高温環境下でも示し、ガスケット面圧の低下が少ない。併せて、高温下で硬化も生じないため、増締めも可能である。これにより、安全に、安心して長期間使用することが可能となる。

3. 使用用途

3-1)適用個所
 石油化学、無機化学、製紙、食品・医薬関連などの各種産業用配管フランジおよび各種機器接合部などに適用する。

3-2)適用流体
 強酸(塩酸、硫酸、硝酸など)、強アルカリ水溶液(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、ふっ化水素酸などに適する。その他、水、海水、熱水、水蒸気、空気、油類、アルコール、脂肪族系溶剤とその蒸気などにも使用可能。なお、毒性ガスについては、使用条件ごとに使用可否の検討が必要であり、重合性モノマーには適さない。

4. 製品仕様

標準寸法をTable1に示す。標準寸法を超える大口径品は、融着による接合で製作可能である。
p20.4

5. 使用可能範囲・設計資料

使用可能な温度・圧力範囲をTable2に、流体区分をFigure1に示す。
p20.5-5
p20.5-1




p20.5-2





p20.5-3
p20.5-4

6. 特性評価

 過酷な環境となる200℃水酸化ナトリウム水溶液および硫酸に対する浸漬試験結果をTable5に示す。他社品は、アルカリあるいは酸に浸漬することにより、大きな重量減少と強度低下を示すが、No.UF300は変化が小さいことから、劣化が生じにくく、耐薬品性に優れているといえる。
 熱サイクルシール評価結果及び、有限要素解析(FEA)によるガスケット面圧挙動解析結果2, 3, 4)を、Table6とFigure2に示す。No.UF300は、高温使用下でかつ熱サイクルが負荷される環境でも面圧低下が少なく高い面圧を保持し、長期安定したシール性を維持することができる。
 その他、物性値をTable7に示す。各市場に使用実績のあるNo.GF300と同等であり、同様の取扱いが可能である。
p21.1
p21.2-1
p21.3

7. おわりに

 今回紹介したプロセス用高耐薬品性ガスケットNo.UF300は、耐薬品性を最高水準まで高めるとともに、№GF300ブラックハイパーの開発で培った技術を応用することにより、プロセスライン各所に使用することができ、顧客ニーズであるガスケットの統合化を推進するために効果的な製品である。
 今後も、顧客ニーズに対応した製品開発に邁進していく所存である。

8. 参考文献

1)小池真二,バルカー技術誌, No.22, 17-22 (2012)
2) 佐藤広嗣、西田隆仁,圧力技術,Vol.48,No.3,132-139(2010)
3) 佐藤広嗣、黒河真也、山邊雅之、高木知弘,日本機械学会論文集C編, Vol.76, No.769, 2219-2224(2010)
4)佐藤広嗣, 配管技術, Vol.52, No.5, 19-24(2010)

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