充填材入り高機能シートガスケットを 中芯とした複合化製品 ふっ素樹脂ジャケットガスケットNo.N7030(F)

充填材入り高機能シートガスケット

1. はじめに

 ふっ素樹脂ジャケットガスケットは接液部がPTFEで構成されるため耐薬品性に優れ、薬液ラインなどに幅広く使用されている製品である。更に、低面圧シール性に優れるため、低レーティング配管や締付けが困難な個所に施工しやすい特徴も併せ持つ。
 しかしながら、塩素ガス、臭素ガスに使用した場合、流体がPTFEジャケットに浸透した後、中芯であるジョイントシートを劣化させるという問題がある。このような中芯劣化は漏れを引き起こす危険性がある。そこで、上記問題に対応した「より安全性の高いふっ素樹脂ジャケットガスケット No.N7030(F)」を開発したので紹介する。

2. 構成

 本製品は、PTFEを主成分とする高機能シートガスケット(No.GF300、No.SF300など)とPTFEジャケットを熱圧着させた製品である(Figure1)。両者の複合化により、低面圧シール性と塩素ガス、臭素ガスへの耐性を両立させることが可能となった。
p13.2

3. 特長

3-1)長期安全性の向上
 ジョイントシートを中芯とした従来品は、塩素ガス、臭素ガスによる中芯劣化が問題とされていた。本製品は、PTFEを主成分とする高機能シートガスケットを中芯とするため、PTFEジャケットを浸透した塩素ガス、臭素ガスによる劣化を防ぎ、長期安全性が向上した。
3-2)高温での増締めが可能
 ゴム成分を含むジョイントシートは100℃以上の高温条件で硬化劣化するという問題がある。ゴム成分を含まない高機能シートガスケットを中芯にすることで、高温硬化劣化を解消することができ、従来品では回避されていた増締めを行うことが可能となった。
3-3)取り扱い性の向上
 中芯とPTFEジャケットを熱圧着しているため、ガスケット装着時にPTFEジャケットがめくれる装着ミスを軽減できる。
3-4)毒性ガスへの適用
 高機能シートガスケットは低面圧シール性への懸念により一酸化炭素などの毒性の高いガスへの推奨を控えていた。本製品はシール部にPTFEジャケットを配しているため、ガスシール時においても安定したシール性能を発揮し、毒性ガスへの適用が可能となった。

4. 使用用途

 電解プラントのライン(塩素ガス、臭素ガス)やその他化学プラントの薬液ライン、ガスライン、半導体向け配管、食品向け配管などに適用する。

5. 製品仕様

標準寸法をTable1に示す。

p14.5_3

6. 使用可能範囲・設計資料

 使用可能な温度・圧力範囲をTable2およびFigure2に示す。推奨締付面圧およびm、y 値をTable3, 4に示す。
p14.6
p14.6_2

7. 特性評価

7-1)耐フロー性
 本製品を開発するにあたり、PTFEで構成されるジャケットおよび中芯である高機能シートガスケットのフローが懸念された。今回、両者を熱圧着することで、ジャケットと中芯の界面におけるすべりを防止し、フローを抑制することができた。Figure3に熱圧着していないサンプルとNo.N7030(F)の熱サイクル負荷後の外観を示す(7-3 項の熱サイクルシール性評価後の状態)。熱圧着していないサンプルは内径側へジャケットが大きくフローしているが、No.N7030(F)のフローはわずかである。
p14.7
7-2)常温ガスシール性
 常温ガスシール性をFigure4に示す。No.N7030(F)は従来品に勝る常温ガスシール性を有している。さらに、ふっ素樹脂ジャケットガスケットの特性の一つである低面圧シール性については、本製品は面圧10MPaで十分なシール性を発揮し、従来品と同様に低面圧シール性に優れている。そのため、No.N7030(F)は毒性ガスに対しても、漏洩管理基準を充分に満足するシール性を有している。
7-3)熱サイクルシール性
 熱サイクルシール性評価結果をTable5に示す。No.N7030(F)は中芯がPTFEを主成分とするため高温での面圧低下が懸念された。しかし、No.N7030 (F)は熱サイクルが負荷される環境でも面圧低下が少なく、No.N7030(S)と同等の熱サイクルシール性を維持することができる。
7-4)耐圧壊性
 No.N7030(F)は従来品と比較して耐圧壊性に優れており、面圧200MPaを負荷してもPTFEジャケットの変形や中芯の割れは確認されなかった(Figure5)。
p15.7_1
p15.7_2

8. おわりに

 今回紹介したふっ素樹脂ジャケットガスケットNo.N7030(F)は、PTFEジャケットとPTFEを主成分とする高機能シートガスケットを熱圧着させることで、両者の複合化が可能となった。その結果、低面圧シール性と塩素ガス、臭素ガスへの耐性の両立が達成され、塩素ガス、臭素ガスラインにおける長期安全性が向上した。また、硬化劣化を解消したとともに取り扱い性も格段に向上し、より安全性の高い製品を開発できたと考える。
p16

ページの先頭へ戻る
ページの先頭へ戻る