OA機器ロール被覆用 薄肉PFAチューブ

OA機器ロール被覆用-薄肉PFAチューブ

1. はじめに

 当社は、平成2年から平成23 年迄の20 年間、「電子複写機・レーザープリンターの定着部加圧用ローラー被覆用」として「PFA薄肉チューブ」の内面に接着性を付与した製品「No.7BG1391/7BG1381」シリーズを供給してきた。これらの製品群は、内面接着性付与方法として「液体アンモニア法」と呼ばれるケミカルエッチングを用いており、「接着特性が非常に良い(耐高温接着特性・接着剤選択肢が多いなど)」 との市場からの評価を受けていた(平成23 年に同製品の販売権譲渡のため、現在は取り扱い無し)。しかし、接着性については高い評価を受けていた反面、生産コストの高さ(液体アンモニア廃液処理費用・歩留りの悪さなど)から、市場での「低コスト化」に対応していくには限界 があることから、対応できる対象市場が中~高速機と呼ばれ る領域での使用にとどまっていた。そこで、「No.7BG137R ドライエッチPFA薄肉内面接着性付与チューブ」通称「プラズマ処理チューブ」として2年前に上市した新しい製品は、接着性(方法・耐久限度)において「液体アンモニア法」に若干及ばないため、使用範囲が限定 されるものの、市場が求める「低コスト化」に対応できる製品であることから、詳細を下記に紹介する(以下、本製品)。

2. 製品(接着性付与方法)の特徴

従来主流であった「ケミカルエッチング」と「ドライエッチ(プラズマ処理)」の違いと優位にある点を下記に述べる。
2-1)環境に優しい、クリーンな工程
一般的にチューブ内面への接着性付与は、多くが薬液を用い(ケミカルエッチング)ており、その使用される薬液から排気ガスや内部洗浄用有機溶媒・水などが多く発生し、環境対策としてそれら物質の回収・除去に大がかりな付帯設備や多額のランニング費用が必要とされ、製品価格の高止まりを余儀なくされている。またこれらの生産現場には、「作業者の毒性物質吸引の可能性」や「低温火傷・爆発などの危険」も常に存在している。
 それに対し、本製品における内面接着性付与方式は薬液を用いず、閉じこめられた空間で発生させる「プラズマ」によりチューブ内面が改質され接着性が施される。この際に使用されるものは、「プラズマ」発生部分に用いる極微量の希ガスのみであり、毒性のある物質はまったく用いず、また付帯設備的としても大きな回収・除去設備などを必要とせず、また内部洗浄も必要でないために、消費する様々な資源もほとんど発生しないのが大きな特徴である。
2-2)連続内面接着性付与
ケミカルエッチングによる接着性付与方式は、まず押出成形された後、巻き取られたチューブを繰り出し、定尺にカットし、内部エッチングを施こすために「液溜りムラ」や「端尺部分」が無駄となるため、製品取得率が低くなり製品本体価格の上昇を招いている。
 これに対し、本製品は、「チューブの押出成形」と同時に連続で施され、そのまま連続して巻き取りされるという特徴を持つ。本処理は、電極から等距離を走行するチューブ内面に均等に施されるため、部分的なムラや未処理部分が存在しないことも大きな特徴である。
 このように、生産開始後から終了迄のほとんど全てが製品となるため歩留まりも良く、またカット・選別などの工程を排除(顧客との調整が必要)出来るため、従来の中間材(定尺カット品在庫)に対する間接費の発生(計数・検査・袋詰め)がなく、低価格で顧客に提供することが可能となる。物流コストも従来の「カット品数量固定」に比較して嵩張らず安価で済むのも特徴の一つである。
2-3)接着性付与面の特徴
2-3-1)長所:処理効果保持期間が長期
 ケミカルエッチングによる接着性の付与は、ふっ素樹脂からふっ素を切断した位置に官能基を付加することにより行われる。このような接着性付与面は接着剤(溶媒)との相性がよく、付加した官能基の種類によっては強固な接着(主に耐熱性)を示すことが知られている。
 しかし、このような接着性付与面は外気・日光などにさらされたり(輸送中の状態や保管状況など)した場合に劣化(官能基の脱離による)などが経時的に進んでいき、処理効果低下が発生する。
 それに対し本製品は、物理的に「細かな凹凸」をチューブ内部に形成することを特徴としており、経時的に変化しないことから、リールに巻いた状態で外力が掛からなければ、処理効果が低下することはない。
 これはケミカルエッチング品では不可避である「効果保証期限問題」がなくなることを意味し、輸送・保管時に要求される環境や条件も大きく緩和されることになる。
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2-3-2)短所:使用される接着剤・接着方法に制限が多い
 ケミカルエッチング品の接着効果が接着剤との「共有結合」や「水素結合」が基本であるのに対し、本製品は細かい凹凸による「物理的アンカー効果」がほとんどを占めている。このため、接着効果の発揮には圧力が必要であり、ロール被覆の用途に限って言えば「注型」タイプの成型方法(膨張圧力)が必要とされる。使用する接着剤についても細かな凹凸に充分馴染むような「低粘度」のサラサラしたものが適していると言える。
p23.2-3-2

4. おわりに

本製品は、上市後2年を経過しているが、対象市場は「電子複写機・レーザープリンターの定着部加圧用ローラー被覆用」にほとんど限定されているのが現状である。しかし、未だ対象市場のほとんどが「ケミカルエッチング」による接着性付与品であり、今後は「環境対策・低コスト対応」への必要性から本製品への置き換えが期待される。
p22

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