バルフロン新ライニング材PLPシート

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バルカー・ハイパフォーマンス・ポリマーズ株式会社
小島 泰信

1.はじめに

 半導体製造における薬液供給システムに使われる薬液タンクは、その耐薬品性と純粋性からふっ素樹脂のライニングタンクが使われている。
 中でも特に薬液純度が求められている容器には、不純物混入がほとんど無いふっ素樹脂のシートを缶壁に直接貼り付けるシートライニング製法のライニングタンクが主流である。
 バルフロンPLPシートは従来のシートライニング製法のシートに比べ表面の平滑性、薬液の耐透過性を改善し、ライニングタンクのクリーン化と長寿命化を図った新世代のライニングシートである。

2.PLPシートとは

 従来薬液供給システムに使用されていたシートライニング製法のタンクのライニングシート材は大半がPTFE材、一部にPFA材が使われている。
 バルフロンPLPシートはこのPTFE樹脂を変性させたタイプ(変性PTFE)に、かつ比重を変化させないケミカルエッチング法による接着性付与によって製作した、ライニング用高比重シートです。

【PLPシートの特徴】
耐薬品性 :PTFEと全く同じで、化学薬品や溶剤に対して腐食・溶解・膨潤劣化がある。
耐透過性 :比重2.20と高比重になっている。薬液やガス透過が極端に少なくなっている。
表面平滑性:変性PTFE特有の優れた表面平滑性がある。
溶接性  :変性PTFE特有の溶接棒材(PFA)との融合性が良く、優れた溶接性がある。
施工性  :ガラスクロスラミネートが無いため、塑性加工が容易で、鏡板やマンホールフレアー部など
      の缶体との馴染みが良く、ライニング時のシート表面への傷発生が少ない。

3.耐透過性能

 当社で実施したライニングタンクに使われるシート各種の薬液透過のテスト結果を図1に示す。
 同テスト結果は図3に示すような装置での実験データから導き出した各シートの透過係数を示すが、これらはそれぞれのシートの比重及びシートの厚さに反比例した。つまり、透過係数は使用される樹脂の比重と厚さに左右されることがよく判る。
 ふっ素樹脂の耐薬品性は周知の通り抜群であり、その耐久性も限界が未だに判らない程抜群である。しかし、ふっ素樹脂も高分子材料であり、薬液の浸透、透過が無いわけではない。透過した薬液はやがてはライニング材と缶体を接合している接着剤を劣化させたり、缶体表面を腐食させたりし、ライニングタンクとしての寿命を縮める上に、圧力変化がある使用状況下では減圧時にシート側から浸透液の逆流も考えられ、内部流体の汚染の危険性が高くなる。したがって、ライニングシートの耐透過性能はライニングタンクを汚染を防ぐ、より長く使用するための最も重要な性能と言えるのである。
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4.グラスバックシートの欠点

 図1に示した各シートを種別に区分すると、①PFA②PTFE ③変性PTFEの3種に分けられる。
 ②③が2つずつあるのは、ライニングの際にシート表面に接着性を付与する方法の違いである。
 周知の通りふっ素樹脂は非粘着性物質であるため、缶体との接着のために接着側表面を改質しなければならない。図内のGBとはグラスバッキングの略でガラスクロスシートをラミネートする方法を採ったもの
であり、ETとはエッチングの略でケミカルエッチングにて表面改質をしたものである。(PLPシートは前述の通り、後者のケミカルエッチング処理品である)
 この表面改質の違いによって何故透過係数が異なるのかは図2に示すとおりライニングシートになった際の比重に差が生じるからである。
 GB加工をするシート素材そのものはET加工品同様に元々比重の高い優れたシートであるのだが、GB加工の際にその比重を低下させてしまうからである。
 GB加工は図4に示すとおり、PTFEシート表面に溶融性の高いPFA層を極僅かに設け、このPFA層にガラスクロスシートを埋め込む方法で形成される。
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 PTFEとPFAは溶融結合であるため両者を結合させる場合は双方の融点以上に加熱圧着し、その後は形状維持のため速やかに冷却させ固化させなければならない。
 元々高比重(高結晶化)であった材料の一部あるいは全ては加熱溶融により結晶が解かれ、その後の急冷により結晶化が進まずに低比重(低結晶化)になり、本来保有していた高比重という高機能を失ってしまう。一方、ET加工はケミカル処理での表面改質であるためシートそのものの比重を変えてしまうような高温処理はなく本来の機能は維持される。
 図5に変性PTFEのGB加工品とET加工品(PLPシート)の断面図を示す。
 GB加工品の図中の下部がガラスクロスであり、母材シートのクロス側約半分の変色して見える部分がGB加工により低比重化した部分である。
 図5に示すGB加工品はラミネート側のみを加熱する方法(新式の加熱ロール方式)で得られたGBシートのため母材シートの約半分程が低比重化しているが、市場には母材シート全てを加熱してラミネートする方法(旧式の加熱炉方式)を採っているメーカーもあり同製法シートでは母材全てが低比重化して、耐透過性能を大幅に低下させることになる。
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5.その他の性能

(1)接着特性
 図6にエッチングシートとGBシートの比較を示す。
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(2)表面平滑性
 表面粗さの測定一例
   PLPシート:Ra 0.05~0.06      
   PTFEシート:Ra 0.08~0.10      
(3)洗浄性
 図7に洗浄時のパーティクル量の比較を示す。
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(4)溶接性
 図8に各種ライニングシートでの溶接強度と温度の関係を示す。
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(5)施工性
 エッチングシートの場合、図9に示す様なタンク鏡部のシートを前もって癖付け加工ができる。
 この加工により、鏡部の溶接ラインはGBシート品に比べ極めて短い。
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