PTFE原料使いこなし技術の紹介

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1. はじめに

 当社における原料使いこなしの技術は、1952年にPTFEを製品化し「バルフロン®」として販売をしたことにより始まった。
 長年にわたり、日本国内で販売されているPTFE原料を用いて、圧縮成形、押出成形、ラム押出成形というような基本的な成形方法から、アイソスタティック成形やポアソン成形といった異形素材の成形を行ってきた。
 「バルフロン®は長年にわたり、PTFEの特徴である非粘着性、低摩擦、耐薬品性などを活かし、すべり軸受け、シール材として、産業機器全般に広く使用され、近年ではそのクリーン性が評価され、半導体分野でも広く使用されている。
 また、高度情報化社会の発展、地球環境の保護、新エネルギーの開発に伴う材料として、使用する分野、用途は更に拡大している。
 近年のニーズは多岐にわたり従来のバルフロン®グレードのみではニーズに対応出来ない状況である。
 当社はその対応として、1995 年に「上海バルカーふっ素樹脂製品有限公司」を設立し、ふっ素樹脂モールダーとして初の中国進出をしたことを皮切りに、中国を中心としたグローバル市場展開を実施、従来のバルフロン®グレードに加え、客先用途・仕様・価格にあわせた多彩なグレードを取りそろえている。
 多彩なグレードを提供するには様々な原料を使いこなす技術が必要となる。
 本報ではその使いこなし技術を紹介する。

2. 原料の種類とその使いこなし技術

2-1)原料の種類、特徴
 PTFEモールディングパウダーは粒径の違いにより、大きく分けて以下のように分別される。また、その特徴を示す。

 微粉パウダー:粒径小、嵩密度低、成形性悪い、物性良い
 造粒パウダー:粒径大、嵩密度高、成形性良い、物性標準
 中粒子パウダー:上記2つのパウダーの中間
2-2)予備成形と寸法変化、密度コントロール
 原料使いこなしにおいては各原料の特徴を把握することが重要である。特に成形に於いて、重要なポイントは成形圧力と寸法変化率(Figure1)、予備成形品密度(Figure2)の把握である。
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 上記2つは一緒に考える必要があり、予備成形密度を均一化することにより、寸法変化率を一定にすることができ、常に同一品質の製品提供が可能となる。
2-3)結晶化度、ボイドの影響とそのコントロール
 PTFEにおいて顧客ニーズに合わせた製品を提供するにはPTFEの結晶化度のコントロールとボイドの抑制が重要となる。
 結晶化度とボイドが製品特性に与える主な影響をTable1に示す。
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 結晶化度のコントロールとボイドの抑制を行うには先に述べた成形圧力の制御に加え、焼成条件を厳密に設定し、コントロールすることが重要である。
 PTFEの標準的な焼成条件をFigure3に示す。

 PTFEの焼成条件は9つのステップにて形成されている、使用する原料の種類や使用用途に合わせ、各ステップの温度、時間を変化させる必要がある。
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 上記により結晶化度のコントロールのみでなく、原料内の不純物や不活性ガスの除去、変色の防止などを行っている。
 当社では成形条件、焼成条件の詳細設定とそのコントロールにより、どの種類の原料を用いても同様の品質にすることが可能であり、また、顧客用途にあわせた製品品質の提供を行っている。

3. 原料グレードの変化

 従来、PTFEの主要用途である半導体用途ではバルフロン®グレードのみの採用であった。現在では接液側、廃液側、というように用途にあわせた原料を選定し、提供を行っている。

 接液側:バルフロン®グレード(標準グレード)
 廃液側:バルフロン®Eグレード(エコノミーグレード)
     グローバルグレード(アライアンスグレード)

 外観にとらわれない箇所での、ガスケット用途、バックアップリング、バルブシート、すべり材、多孔板などには安価原料を用いたエコノミーグレードやグローバルグレードを採用している。
 自動車、OA用途には充填材の添加をせずに耐摩耗性、耐クリープ性を大幅に向上した架橋PTFEを提供している。
 従来の標準的な充填材では対応できない厳しい条件下での使用に際しては、特殊充填材のコンパウンドを行い提供している。
 以下に当社が提供しているグレードの比較表を示す。
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4. おわりに

 当社では現在、日本のみならず世界各国のあらゆるメーカーの原料を使いこなしている。
 各社の原料には様々な種類、グレードがある。このため、特徴もまた様々である。その上、原料は日々改良が繰り返されている状況である。
 当社では常に新規原料を評価し続け、使いこなしていくことで、常に安定した品質、顧客ニーズを満足する製品を提供し続ける所存である。

5. 参考文献

1)ダイキン工業㈱ ダイキンフッ素樹脂ハンドブック
2)三井・デュポンフロロケミカル㈱ ふっ素樹脂デュポンテフロン実用ハンドブック
3)旭硝子㈱ PTFEモールディングパウダーの圧縮成形
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