キャスク用トライパック®の経年劣化影響評価 2

P2-1

3 .密封特性の評価

 今回取得したトライパック®の密封特性について、NUPEC殿で実施した平成14年度試験結果と比較し評価を行った。
3-1 静的横ずれ試験
 静的横ずれ試験前後に実施した圧縮復元試験による線荷重変化例を図5に、静的横ずれ試験により取得したデータ一覧を表2に示す。また、横ずれ量と漏えい量の関係をNUPEC殿試験結果と比較した結果を図6に示す。
P5-1
P6-1
 トライパック®は加熱劣化後横ずれ前の漏えい量として5×10-11~2×10-10Pa・m3/sの範囲にあり、片側横ずれ(3 mm)後で漏えい量は1×10-9~2×10-9Pa・m3/sまで上昇した。また、位相を反転し、戻し方向に横ずれさせた場合の漏えい量は5×10-8~1×10-8Pa・m3/sまで上昇することが認められたが、許容基準として設定されている1×10-5Pa・m3/s (実機輸送時の漏えい基準にガスケット周長比を考慮した設定値)(1)に対し充分余裕があることを確認した。
 また、NUPEC殿試験結果と比較すると、トライパック®は比較的横ずれに対する漏えい量の変化傾向にバラツキが少なく、NUPEC殿で供試したガスケットと同等と評価する。
3-2 動的口開き試験
 動的口開き変位と漏えい量との関係をNUPEC殿試験結果と比較した結果を図7に示し、振上角度・回数と漏えい量の関係を図8に示す。また、動的口開き試験により取得したデータ一覧を表3に示す。
P6-2
P7-1
 劣化付与ガスケットの動的口開き変位は0.3mmまで開口させた。劣化付与ガスケットの復元変位は約0.2mmで、あり、最大口開き変位0.3mmはガスケットを充分開口できる変位量である。
 図7よりガスケットの漏えい量は、バラツキはあるものの口開き変位とともに大きくなる傾向を示しているが、最大口開き変位0.3mmで10-6~10-7Pa・m3/sオーダーのレベルであり、許容基準として設定されている1×10-5Pa・m3/sに対し充分余裕があることを確認した。
 NUPEC殿試験結果と比較すると、バラツキは生じているものの、同様な傾向を示しており、NUPEC殿で供試したガスケットと同等と評価する。
3-3 動的横ずれ試験
 動的横ずれ変位と漏洩量の関係をNUPEC殿試験結果と比較した結果を図9に示す。また、試験後ガスケットの断面形状(代表例)を図10に示す。また、動的横ずれ試験により取得したデータ一覧を表4に示す。
P7-2
P8-1
P8-2
 劣化付与ガスケットの動的横ずれ変位は最大3mmまで横ずれさせた。図9より、ガスケットの漏えい量は横ずれ変位とともに大きくなる傾向を示したが、動的試験後の最終変位値の漏えい量でも10-7Pa・m3/s オーダーのレベルであり、許容基準として設定されている1×10-5Pa・m3/sに対し充分余裕があることを確認した。
 NUPEC殿試験結果と比較すると、横ずれ変位に伴う漏えい量の上昇傾向は緩やかであった。また横ずれ直後の最大漏えい量は3mmずれ後で10-7~ 10-6Pa・m3/sのレベルであり、輸送基準(1×10-5Pa・m3/s)に対し充分余裕がある。さらに、時間経過によって漏えい量は減少し、10-8Pa・m3/s レベルとなり、NUPEC殿供試ガスケットと同様に性能的余裕があるものと考えられる。
3-4 静的変位と動的変位の比較
(1)断面形状の比較
 静的横ずれ試験後と動的横ずれ試験後の断面形状比較した結果、双方ともずれ方向での外皮の変形が大きく、内周リング、外周リングともフランジに接触したものと考えられるが、両者に大きな差異は無かった。また、NUPEC殿供試ガスケットについても、ずれ方向の変形が大きく、ずれ挙動は同様であると考えられる。

(2)静的横ずれ特性と動的横ずれ特性の比較
 静的横ずれ特性と動的横ずれ特性の比較では、静的に比べて動的の漏えい量が大きくなる傾向を示した。この原因としては、動的ではフランジとガスケットの接触面にずれが生じ、リークパスが生じて漏えい量が大きくなったものと考えられる。

 NUPEC殿供試ガスケットも同様の傾向を示し、トライパック®とNUPEC殿供試ガスケットは同等の性能を有していると考えられる。
3-5 LMP値と線荷重変化率の関係
 図11にトライパック®とNUPEC殿供試ガスケットのLMP値と線荷重変化率の関係を示す。
 いずれも190℃×85hの劣化条件により締切荷重は約50%に低下しており、両者の有意差は見られなかった。
P8-3

4.おわりに

 断面径10mmの復列型トライパック®について、NUPEC殿のリサイクル燃料資源貯蔵技術確証試験(金属キャスク貯蔵技術確証試験)と同様、静的横ずれ試験、動的口開き試験、動的横ずれ試験を実施しその密封特性を評価したが、いずれも金属キャスクの輸送基準である1×10-5Pa・m3/sを満足する結果となった。
 また、NUPEC殿供試ガスケットと同等の特性を有することが確認され、スプリング材質の遣いによる影響はないことが確認された。
 金属キャスク貯蔵技術においてはまだいくつか評価されるべき事象が残されているものと思われるが、トライパック®はその高い密封性能をもって原子力発電所外における中間貯蔵施設の実現の手助けとなることを確信している。
<参考文献>
(1)金属キャスク貯蔵技術確証試験平成13年度報告書 (財)原子力発電技術機構
(2)金属キャスク貯蔵妓術確証試験平成14年度報告書 (財)原子力発電技術機構
(3) Valqua Technology News NO.6S PRING 2003 日本バルカー工業(株)
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