レチクル自動搬送機に対応可能なユニバーサルレチクルポッド

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日本バルカー工業株式会社
樹脂製品開発部 野辺 淳嗣
先端産業開発部 辻  和明

1.はじめに

 半導体デバイスの高性能・低コストに最も有効な方法が微細化であり高速動作と低消費電力実現のために微細化は益々加速されていくであろう。この微細化を支えているのがリソグラフィー技術でありフォトマスクは露光装置、レジスト材料と共にキーテクノロジーの一つである。
 この微細化に対応するためにフォトマスク製造にかかわる装置メーカー、ブランクスメーカー、マスクメーカー等各社においてクリーン化技術がこれまで以上に重要なファクターになっている。近年では、ブランクス及びフォトマスクの輸送・
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工程内搬送・工程内保管時のパーティクルだけでなくケミカル汚染も問題になりつつある。
 この様な状況化でブランクス及びフォトマスクを安全且つクリーンに輸送し製造工程の自動化に対応できる輸送及び保管用の高密閉性マスクケースとしてURP(Universal Reticle Pod)を開発した。URPは、パーティクル付着防止のための帯電防止及びアウトガスの少ない材料を使用し、パーティクルのケース内への侵入及び輸送・搬送時の振動等による発塵を最小にする設計を採用している。

2.レチクルハンドリングトータルソリューション

 ブランクス、フォトマスクの輸送・保管ケースであるURPと移載機となるレチクルプラットフォーム(RP)、レチクルの保管用のレチクルストッカー(RS)を組み合わせたソリューションで、フォトマスクの上流から下流まで一貫してURPを使用すれば、自動化対応した低コストのハンドリングが可能である。

3.URPの特徴

 URPは、半導体リソグラフィーにおいて問題になりつつあるレチクルの搬送・保管時のパーティクルやケミカル汚染に対応した高密封性を有するマスクケースである。
 これにより、現状ブランクスメーカーとマスクメーカー間、またマスクメーカーとデバイスメーカーの輸送に個別に使用されているマスクケースの統一化がはかれ、かつPFIDを具備することで、そのID管理が容易となる。
【URPの主たる特徴】
・顧客におけるレチクル保管ケースとして使用可能。
・低アウトガス特性を有する導電性透明樹脂を採用。
・高密封特性を有しパーティクル汚染が極めて少ない。
・ロボット対応設計により自動開閉可能。
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・PFIDを具備しレチクルのID管理が可能。
・レチクル保持部がレチクルエッジ部の線接触のため平面部がクリーンに保てる。
・外気圧変動に対応した呼吸弁(フィルター)を具備。

4.URP用シール設計

 URP用シールには、密閉性、低パーティクル、低放出ガス等の性能が求められる。
 ただし、マスクケースには通常樹脂材料が用いられ、その剛性の低さから、シール性を得るための十分な圧縮荷重を得ることが難しい。また、シール材と相手材料の摩擦によるパーティクル発生を減少させる
ためには、圧縮荷重を極力低くすることが有効である。つまり、可能な限り低い荷重で、十分な圧縮量が得られるシールが必要となる。
 このため、本URPのシールには、特殊形状のシール材を専用に設計した。またゴム硬さを含む材料選定においても最適化をはかった。
 シール材の設計コンセプトを図1に示す。シールの設計に当たっては、FEA(Finite Element Analysis:有限要素解析)を使用しシールの変形状態の調査(図2)のみでなく、圧縮した際のURPの変形状態を考慮した。(図3)
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5.URPの特性評価結果

5.1 パーティクル特性評価結果
 URPにレチクルをセットし、パーティクルカウンタを取り付け、外部より浸入するパーティクルの個数を調査した。試験概略図を図4に示す。シール部からのパーティクル浸入量を明確にするためフィルター単体でも調査を行った。結果を表1に示す。表中のパーティクルは、測定回数3回の平均値であり、それぞれ試料数を3pcとしている。
 この結果、両結果とも0.08μm以上の粒径のパーティクルは全く確認されず、良好なパーティクル性能を有することを確認した。
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5.2 シール性評価結果
 図5に示すように、URPにガラス基盤をセットしフィルター取り付け部に微差圧計圧力調整バルブを取りつける。この状態で、微差圧計が-450Paおよび-50Paを示すまで減圧し、圧力調整バルブを閉としてからの10分間のURP内の圧力変化を測定した。
 図6にシール性評価結果を示す。時間の経過と共に圧力は徐々に上昇する傾向にあるが、非常に緩やかである。特に-50Pa減圧状態では、ほとんど圧力変化がない。これにより安定したシール性を有している。
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5.3 振動試験結果
 レチクルのホールド性能を確認するためURPの輸送状態を考慮した振動試験を実施した。
 試験は、1軸(垂直軸)で2hrの振動を与えた。
 その結果、URPは、レチクル保持部からの摩擦も見られず、パーティクル発生は認められないことを確認した。

5.4 材料特性評価結果
 URPと他社製マスクケース材料との材料特性比較を表2に示す。
 帯電防止性を有し、アウトガス、溶出イオンともに、低いレベルに抑えられレチクル等への汚染防止が可能となる。
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6.おわりに

 本稿では、URPの材料に求められる機能(純粋性、アウトガス、溶出イオン等)とシール機能(密閉性、発塵等)での当社側での評価状況に焦点をあてて説明しました。
 現在、使用者側(ブランクスメーカー、マスクメーカー)で評価が進められています。この評価の中で新たな課題が発見できれば改善を加え、お客様と共に更に良い物を作り上げていく事が当社の使命であると認識しております。
 本製品は販売が伯東株式会社殿、設計・製造が当社で共同にて開発しました。

7.参考文献

(1)SEMI Std. compliant(E111):6インチレチクルを搬送及び保管のために用いる150mmレチクルSMIFポッド仕様
(2)吉田ほか.ガラス基盤収納ケース,ガラス基盤入れ替え装置,ガラス基盤管理装置,ガラス基盤流通方法,シール部材およびこのシール部材を用いたシール構造,特願2005-167481号広報.

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